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「大切な本だから手元に置きたい」は間違い?倉庫保管で本を“寿命”から守る完全ガイド
「本が増えすぎて、もう床が見えない……」
「でも、大切なコレクションを倉庫に預けるのは怖い。カビたり虫に食われたりしたらどうしよう?」
そんなジレンマを抱えていませんか?
愛書家にとって、本の保管場所問題は深刻です。しかし、実は「自宅での保管」こそが、本にとって過酷な環境である可能性が高いことをご存知でしょうか。
今回は、国立国会図書館なども採用している「保存科学」の知見に基づき、あなたの大切な本を数十年先まで守り抜くための倉庫保管テクニックと、預ける際の不安にお答えします。
Q1. 倉庫に預けると、湿気でカビだらけになりませんか?
A. 「湿度65%の壁」を超えない環境なら、自宅より安全です。
多くの人が倉庫に抱く「ジメジメしている」というイメージ。確かに空調のない屋外コンテナなどは論外ですが、適切な施設を選べば自宅よりもはるかに本に適した環境が得られます。
科学的に、カビ(真菌)は「湿度65%」を超えると爆発的に繁殖します。日本の夏、自宅の部屋を締め切っていると、湿度は簡単に70%を超えてしまいます。
【正解の選び方】
「空調完備」という言葉だけで選ばず、以下の基準で倉庫を探してください。
- 24時間定温・定湿:温度22℃前後、湿度55%前後をキープしているか。(これが本にとっての「楽園」です)
- 地下保管:地下は地上の気候変動の影響を受けにくく、温度が安定しています。
Q2. 虫食いが心配です。預けている間にボロボロになりませんか?
A. 「段ボール」の選び方ひとつで、虫害リスクは激減します。
本を食べる「シバンムシ」や「シミ」といった害虫。彼らはどこから来るのでしょうか?実は、外部から持ち込まれるケースがほとんどです。
特に危険なのが、スーパーなどでもらってくる「中古の段ボール」です。これには目に見えない虫の卵や、食品のカスが付着している可能性が高く、倉庫内で孵化して大惨事を招きます。
【今日からできる対策】
- 必ず「新品」の段ボールを使う:虫の侵入経路を断ちます。
- パッキング前の掃除機:本の「天(上部)」に溜まった埃は、虫の餌であり巣です。箱詰め前に掃除機のブラシノズルで吸い取りましょう。
- IPM(総合的有害生物管理)対応の倉庫を選ぶ:最近の優良倉庫は、薬剤を撒くのではなく「虫が住めない環境」を作る管理を行っています。
Q3. 昔の本が茶色く変色してきました。倉庫で進行を止められますか?
A. 「中性紙の箱」に入れることで、劣化を遅らせることができます。
古い本が茶色くなり、最後にはボロボロと崩れてしまう現象。これは紙に含まれる「酸」が原因です(酸性紙劣化)。さらに、空気中の排気ガス(NOx)なども劣化を早めます。
これを防ぐプロの技が「中性紙保存箱(アーカイブボックス)」の使用です。
少し高価ですが、この箱はアルカリ性の成分を含んでおり、本から出る酸や外気の酸性物質を「中和」してくれます。長期保存を前提とするなら、普通の段ボールではなく、文書保存箱の使用を強くおすすめします。
実践!本を傷めないための「預け方」4ステップ
最後に、実際に倉庫へ送る際に、あなたがやるべき準備をまとめました。
- 選別(トリアージ):すでにカビている本、虫食いがある本は絶対に一緒に箱詰めしないでください。他の健康な本に移ります。
- 虫干し:晴れた乾燥した日に、ページに風を通して水分を抜いてから梱包します。
- 詰め方:本は「立てて」入れます。寝かせて積み上げると、下の本が歪みます。また、ギチギチに詰めず、指一本入るくらいの余裕(充填率80%)を持たせましょう。
- 配置(トランクルームの場合):床に直置きは厳禁です(床付近は湿気が溜まります)。スノコを敷き、壁から10cmほど離して空気の通り道を作りましょう。
まとめ:預けることは「捨てること」ではありません
倉庫に預けることを「手放すようで寂しい」と感じるかもしれません。
しかし、適切な環境(温度22℃・湿度55%)で管理することは、自宅の書棚に並べて湿気や紫外線に晒し続けるよりも、本の寿命を数十年、場合によっては数百年延ばす「積極的な保護行為」なのです。
大切なコレクションだからこそ、プロの環境という「避難所」を用意してあげてはいかがでしょうか。
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